OBJECT: THE GOBI GRID
STATUS: ACTIVE / RESTRICTED AREA
中国、甘粛省と新疆ウイグル自治区の境界付近。文明から隔絶されたゴビ砂漠のただ中に、それは突如として現れる。Googleマップの検索窓に座標を打ち込み、航空写真へと切り替えた者の前に現れるのは、砂の上に引かれた「あまりに白すぎる線」の迷宮だ。
一見すると、それは都市の街区を計画した設計図のように見える。整然と並び、交差する無数の線。しかし、そこには家も、店も、人間が生活する痕跡は一切ない。広大な砂漠の中に、ただ「線」だけが、数キロメートルにわたって精密に刻まれているのだ。
定規で引かれた「狂気」
この模様の最大の特徴は、その「不自然なまでの直線」にある。自然界には存在し得ない完璧な直線。それは数キロメートル先まで寸分の狂いもなく伸び、直角に折れ曲がっている。地上で測量を行い、この規模の網目を描くには、莫大な予算と、国家レベルの動員力が必要であることは明白だ。
公式な見解は存在しないが、軍事専門家の間ではいくつかの仮説が囁かれている。
- 偵察衛星の校正標的: 宇宙空間から見下ろす偵察衛星のカメラが、正確な距離感や解像度を調整するための「定規」として機能しているという説。
- 弾道ミサイルの演習地: この網目を特定の都市(例えばワシントンや東京)の街区に見立て、空爆やミサイル攻撃のシミュレーションを行っているという、より攻撃的な説。
- レーダー網のテストベンチ: 地面に特殊な反射材を塗布し、電磁波の跳ね返りをテストしているという技術的な説。
沈黙する地図、語る影
驚くべきは、この網目の周辺をさらに広範囲に探索した際に見つかる、他の「断片」たちである。焦げ付いた飛行機の残骸、円形に並べられた謎の構造物、そして地下へと続くと思われる数枚のハッチのような蓋。それらすべてが、この網目を中心とした巨大な「実験場」の一部であることを示唆している。
かつて、ある調査員がこの付近の「音」を傍受しようと試みた際、無線からは意味をなさない数字の列が延々と流れ続けていたという。それは人間へ向けた言葉ではなく、機械が機械へ、あるいは衛星が地上へと送り続ける「暗号」だったのかもしれない。
「砂漠に描かれたものは、砂に埋もれるのが常だ。だが、ここにある線は、何者かが常に『維持』している。風が吹いても、砂が舞っても、その白さが失われることはない。」
観測者への警告
我々は、この座標を眺めることで「監視」しているつもりでいる。しかし、考えてみてほしい。衛星からの視線を前提として設計されたこの場所は、「見られること」を前提に作られているのだ。あなたがモニター越しにこの網目を見つめているとき、網目の向こう側にいる「設計者」もまた、あなたのアクセスをログとして記録しているのではないか。
ゴビ砂漠の深奥に眠るこのグリッドは、我々一般市民が踏み込むことのできない聖域——あるいは、人類が次に迎える「破滅」の演習場なのかもしれない。
ズームを最大にし、その線の境界線を眺めてみてほしい。そこには、砂と、白い塗料(あるいは石灰)の境界線が、あまりに冷酷に引かれている。その一本の線の太さが、一人の人間の命など容易に呑み込むほど巨大であることに気づいたとき、本当の恐怖が始まる。
記録終了:2026/02/09

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