​本記録における地図上の座標ピンは、広域表示の便宜上、現地の厳密な位置特定を保証するものではありません。航空写真でしか覗けない立ち入り禁止区域の神秘や、ストリートビューで刻々と変わる景色を楽しみ、心惹かれた場所へはぜひ実際に足を運んでいただきたいため、あえて画像を使わず周辺座標の提示に留めています。この記録が、あなたの**『まだ見ぬ世界』との出会い**になれば幸いです。
PR

【残留する記憶:366】グレート・セント・ジェームス島 — エプスタインが夢想した「悪魔の版図」と未完の私領

この記事は約11分で読めます。
スポンサーリンク
OBJECT: GREAT ST. JAMES ISLAND (UNFINISHED EXPANSION SITE)
LOCATION: U.S. VIRGIN ISLANDS, CARIBBEAN SEA
COORDINATES: 18.3114285, -64.8270506
STATUS: PRIVATE PROPERTY (SOLD TO JP INVESTMENTS 2023)

米領バージン諸島、セント・トーマス島の南東沖に浮かぶ「グレート・セント・ジェームス島」。面積約165エーカーにおよぶこの無人島は、2016年に投資家ジェフリー・エプスタインが約1800万ドルで購入したことで、世界中の注目を浴びることとなった。すでに「ペドファイル・アイランド(小児性愛者の島)」として悪名高かった隣の「リトル・セント・ジェームス島」を補完し、その支配領域を拡大するための計画地であった。2019年にエプスタインが逮捕、死亡したことにより、島で進められていた壮大な邸宅、桟橋、太陽光発電施設の建設はすべて中断された。熱帯の緑の中に突如として現れる剥き出しの鉄筋とコンクリートの塊は、主人が描いた邪悪なユートピアが挫折した証として、今もなおカリブの強い陽光に晒されている。ここは、法を逃れた権力者が夢想した「最後の帝国」の残滓が漂う、極めて不穏な【残留する記憶】の島である。

スポンサーリンク

観測データ:中断された「王国の拡張」

以下の航空写真を観測せよ。すぐ南隣に位置するリトル・セント・ジェームス島(象徴的な青と白の縞模様の寺院がある島)と比較すると、このグレート・セント・ジェームス島がいかに広大であり、かつ「未完成」であるかが一目で理解できるはずだ。閲覧者は、島の北東部に見える工事現場の跡に注目してほしい。エプスタインは地元当局からの建築許可を無視し、無断でマングローブを伐採し、巨大な邸宅の基礎を築いた。現在はGoogleマップ上でも、半分完成した状態で放棄された構造物や、資材運搬のための桟橋跡が確認できる。ストリートビューでの上陸は不可だが、周辺の海域をボートから撮影したパノラマ写真がいくつか存在しており、海から見上げる崖の上に聳える「未完の廃墟」の不気味さを、その目で確認することができる。

※カリブ海、グレート・セント・ジェームス島。南に隣接するリトル・セント・ジェームス島とともに、エプスタインの私領であった。
18.3114285, -64.8270506
≫ Googleマップで島の航空写真を直接確認する

※様々な諸事情(通信環境など)によりマップが表示されないことがあります。その際は座標を直接コピー&ペーストして確認してください。

スポンサーリンク

残留する記憶:野望が塗り固めたコンクリート

この島は、単なるリゾート開発地ではなかった。そこには「逃げ場所」をさらに強固なものにしようとする執念が渦巻いていた。

  • 違法開発の歴史:
    エプスタインは購入直後から、適切な許可を得ずに大規模な土地造成を開始した。地元政府から「工事停止命令」を受けてもなお強行された開発は、この場所を外界の法律が届かない「治外法権」の地として構築しようとした意思の表れである。
  • セットでの売却:
    2023年、投資家のスティーブン・デコフ率いるSDインベストメンツが、この島と隣のリトル・セント・ジェームス島を合わせて約6000万ドルで購入した。かつてエプスタインがこれらを「帝国」として所有していた際の見積額(約1億2500万ドル)からは大幅な下落となった。
  • 未完の「邸宅」:
    島の中央部に計画されていた建物は、リトル島の邸宅を凌ぐ規模だったと言われる。建設作業員たちは厳格な守秘義務を課され、内部の設計については今も多くの謎が残されている。
  • 浄化への歩み:
    新所有者は島を「世界クラスの豪華なリゾート」へと変貌させ、負のイメージを払拭する方針を示しているが、地元住民や被害者感情、そして「エプスタイン島」としての国際的な悪名は、そう簡単に拭えるものではない。

当サイトの考察:未完成ゆえに際立つ「意図」の生々しさ

完成され、機能していたリトル・セント・ジェームス島が「現在進行形の罪」の現場であったのに対し、このグレート・セント・ジェームス島は、いわば「罪の未来予想図」が凍結された場所です。

建設途中で放置された建物ほど、その「設計者の意図」が剥き出しになるものはありません。なぜこれほど大規模な電力施設が必要だったのか、なぜこれほど広大な土地を欲したのか。航空写真に見える土砂崩れのような開発跡は、周囲の美しい珊瑚礁や海とはあまりに不調和であり、持ち主がいかに環境や倫理を軽視していたかを雄弁に語っています。

この島にある残留記憶は、かつてそこで行われた行為そのものよりも、これから行われようとしていた「さらなる巨大な闇」への恐怖に近いものです。主人が消えた今、建物が風化し、再び熱帯の植物に覆い尽くされたとしても、この島が一度「悪魔の版図」として選ばれたという事実は、カリブの歴史に深く刻まれ続けるでしょう。

スポンサーリンク

【周辺施設と紹介:バージンの光と影】

負の遺産のすぐそばには、本来のカリブの美しさが今も残されている。

■ 関連施設・スポット:

リトル・セント・ジェームス島:
南に隣接。エプスタインのメイン拠点であり、不気味な青いストライプの寺院(音楽室だったと言われる)が現存する。

セント・トーマス島:
ボートですぐの距離にある主要な島。多くの観光客が訪れるクルーズ船の寄港地だが、ここから見える二つの島がかつてどのような場所であったかを知る者は、複雑な思いで水平線を眺めることになる。

クリスマス・コーブ(Christmas Cove):
島のすぐそばにある美しい入り江。シュノーケリングやヨットの停泊地として人気だが、かつてはエプスタインのプライベート・セキュリティが警戒の目を光らせていた場所でもある。

■ 土地ならではの体験:

ピザ・パイ(Pizza Pi):
クリスマス・コーブに停泊している有名な「ピザ・ボート」。ボートから直接注文できる。この美しい海域の日常と、隣接する島の非日常的な背景のコントラストを象徴する存在。
スポンサーリンク

【アクセス情報】隔絶された私領

現在、島は新所有者の管理下にあり、一般人の上陸は厳格に禁止されている。

■ アクセスルート:

出発地:
セント・トーマス島のレッド・フック(Red Hook)港、またはセント・ジョン島のクルーズ・ベイ。

手段:
チャーターボート。島の周辺海域を航行し、海上から観測することは可能。

所要時間:
セント・トーマス島からボートで約15〜20分。

【⚠ 重要:注意事項】

不法侵入の厳禁:
島は完全に私有地であり、武装したセキュリティや監視カメラによる監視が続けられている。許可なき上陸は法的に罰せられる。

ドローン飛行の制限:
プライバシー保護および管理上の理由から、周辺でのドローン飛行には法的制限がかかる場合がある。

イメージのセンシティビティ:
この海域での「エプスタイン島」に関する話題は、地元住民や関係者にとって非常にセンシティブである。興味本位で過度に騒ぎ立てる行為は避けるべきである。
スポンサーリンク

情報のアーカイブ:関連リンク

スポンサーリンク

断片の総括

グレート・セント・ジェームス島。それは、完成することのなかった「悪意の青写真」である。航空写真に映る工事の中断跡は、個人の欲望がいかに巨大な物理的傷跡を自然に残すかを冷酷に示している。リトル・セント・ジェームス島が「点」であるならば、この島は「面」へと広がろうとした闇の意思であった。新所有者による再開発によって、いずれこの「未完の廃墟」はラグジュアリーなリゾートへと塗り替えられるだろう。しかし、その地下に眠るマングローブの死骸や、法を嘲笑いながら積み上げられたコンクリートの記憶は、この美しい海の色が変わらない限り、誰かの囁きとして残り続ける。ここは、永遠に「浄化」されきることのない、カリブ海に浮かぶ不の記念碑なのである。

アーカイブ番号:366
(残留する記憶:103)
記録更新:2026/02/22

コメント

タイトルとURLをコピーしました