​[進入:036]メキシコの人形島 ― 目を持たない視線が見つめる場所

断片番号:XXX メキシコの人形島 ― 目を持たない視線が見つめる場所

メキシコ合衆国、首都・メキシコシティの南、世界遺産にも登録された運河群「ソチミルコ(Xochimilco)」の中に、ひっそりとその名を刻む島がある。そこでは人形が樹々の枝に吊るされ、目を持たない視線が訪れる者を見据えている

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Google マップで「Isla de las Muñecas(人形島)」の座標を開く

座標:19.2728° N, -99.0888° W

この島は 「La Isla de las Muñecas(人形島)」 と呼ばれ、運河の中の小さな「チナンパ(浮き畑)」のひとつだ。元々はただの孤立した島に過ぎなかったが、ある男の行動がその運命を変えたと伝えられている。1

伝説と起源

物語の中心となるのは、ドン・フリアン・サンタナ・バジェラ(Don Julián Santana Barrera)という名の男だ。1950年代、この島に暮らし始めた彼は、ある日運河のほとりで若い少女の遺体を発見したという。噂によれば、その悲劇的な出来事に強い衝撃を受けた彼は、翌日運河を漂う古い人形を見つける。それが少女に関連のあるものだと信じ、人形を木に吊るしたという。2

そのひとつの行為がきっかけとなり、バジェラはやがて数十年の歳月をかけて何百、何千もの人形を運河やごみ捨て場から集め、樹々に吊るした。人形の多くは壊れ、目が欠け、風雨に晒されて朽ち果てていく。だがその無数の〈目なき視線〉は、訪れる者に不可思議な印象を残し続けている。3

噂と怪異

この島は単なる異様な景観以上のものとして語られてきた。地元の人々や訪問者の一部は、人形の目が動いたように見えた、あるいは囁き声を聞いたという体験談を語る。人形が夜に動く声が聞こえるといった怪異は、真偽を超えた「語り」の中で語り継がれている。4

またバジェラ自身も、晩年には精神的に追い詰められたような行動が増え、2001年に同じ運河で遺体として発見されたと伝えられる。この出来事は、伝説と現実を曖昧に結びつける象徴的な出来事として語られている。5

「観測者」としてのあなたへ

この島を衛星写真で見ると、数えきれないほどの人形がぶら下がる風景は、ただ「奇妙」だというだけでは済まされない何かを感じさせる。インターネット越しに見てもなお不気味さを放つこの場所は、あなた自身の内部に奇妙な痕跡を刻むかもしれない。

現地へのアクセスはボート(trajinera)を利用する方法が一般的だが、観光客向けのツアーも多く、現実的な旅行計画にも組み込まれている。しかし、真相は神秘か、それとも人間の想像力の産物か――それはあなた自身が運河を進みながら判断する他ない。6

参考リンク

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